バースディ ・5

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 ユリアンが出した提案に、エレンとトーマスが驚くのも当然だった。
 突然ユリアンが、サラを連れて行けないのなら、グレイト・フェイク・ショーを連れてくればいいと言い出したからだ。
 初めは、エレンもトーマスも、ユリアンの提案は何かの冗談だと思ったらしい。だが、話を聞いているうちに、ユリアンは冗談を言っているわけではないということがわかってきた。
 しかし、それはそれで問題である。ユリアンが本気だとたら、もう頭がどうかしてしまったとしか思えなかったからだ。
「だから、そんなことができるわけないだろう?もう少し考えてくれよ、ユリアン」
「違うって!オレが言いたいのはそう言うことじゃなくて――!」
「じゃあどういうことよ、きちんと説明して」」
 トーマスは半ば呆れ気味。エレンはいい加減なことをいうユリアンを少し怒っているようだった。
「いいか、よく聞いてろよ!!」
 テーブルに足を乗せ、そうタンカを切ると、ユリアンは自分が考えたサラの誕生パーティの計画を、エレンとトーマスに打ち明けた。
「…………………」
 ユリアンのその計画を聞いたあと、エレンとトーマスは二人とも押し黙ってしまった。
 確かに、それなら自分たちにもできるかもしれない。だが……。
「あと五日。今日を入れても六日。それだけしかなくて僕たちだけでできるの?」
 理想を言うことはたやすい。しかし、実際にやろうとすると、大きな問題が山ほどでてくるだろう。それでも、自分達でやろうと言うのか?トーマスが言いたいのはそういうことだ。
「できるの?じゃない!やるんだ!!」
 ユリアンはやる気十分だ。
「でも――!!」
「あたしはやるよ」
 さらに食い下がろうとするトーマスを、エレンが押し留めた。
「サラのためだからね」
「そうそう、サラのためサラのため!」
 味方がひとり増えたことで、ユリアンのやる気はさらに上昇しているようだ。
「…………………」
 さっきまでの覇気のなさは、いったいどこに行ったんだよ……そんな風に頭を抱えながらも、トーマスは計画の参加を表明した。
「そうさ!おっさんだってやれるんだ!!オレたちができないはずがない!!」
 こうして、三人のサラ誕生日計画は始まったのだ。

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